GMに優しいPL〜キャラ設定編

リーンの闇砦(V3 Edition)―セブン=フォートレス・リプレイ (富士見文庫―富士見ドラゴンブック)
サークルで主に遊ばれているFEARゲーには、「ハンドアウト」というシステムがあります。
ようするにプレイ開始時のPCの立ち位置なんかを明記したものなわけですが、昔のゲームでは「プレイ前にGMとPLが相談して決めていた事」を「GMからの要請」という形で一方的に提示し、事前にシナリオを作ってくることを容易にしたシステムです。
ハンドアウトというシステムがなかった頃は、PLはそれぞれで好きにPCを作り、それを見てからそれぞれが活躍できそうなシナリオを組むアドリブセッション、もしくはPC達はあくまでPTであり、PT内で役割分担が出来ていればシナリオ的に立ち位置は問わない…というのが主流だったように思います。
事前の話し合いがないままでの個別導入の難しさはセブンフォートレスのリプレイ、「リーンの闇砦」の序盤を読んでみるとわかりやすいかと思います。
このリプレイでGMは、PCが設定を作ってから一週間の猶予を設けてシナリオを練り直しなお、PCが出会うシーンに失敗しているというかなりの失敗例です。

つまるところハンドアウトとは、「GMが事前に作ってきたシナリオをプレイする為の予告」であり、そのプレイを円滑にするためのツールであるわけです。
ハンドアウトから逸脱したPCを作ることはその時点でGMの邪魔をしている」ということにもなりえます。

よくある困ったちゃんの報告です。
「PC1は相棒の仇を討つことを誓った歴戦の戦士だ」というハンドアウトに対し、「俺は孤高の英雄…仲間など要らぬ」などというPCを投入する。
すると、シナリオでは「仇を討つ」ことがモチベーションとして設定してあるため、それが与えられないということはそのPCは事件を解決しようという意思、しいてはシナリオに参加する意思を持つことが「不可能」になります。
これははっきり言ってハンドアウトに従わないPLの責任ですが、他のPLにとっても戦力が足りなかったり、情報が集まりきらなかったりと迷惑をかけることになります。
ここまであからさまじゃないにしろ、案外同じような事態に陥っている時は多いのではないでしょうか?

たとえば、以前私がGMをしたDX2nd「この願いが叶うなら 前篇」というシナリオでの話です。
PC4のハンドアウトに「日本支部長から特別に信頼され、裏のありそうな仕事を請け負う特権階級」という指定がしてありました。
しかし、担当したPLが作ったPCは「ほとんど職務経験のない素人同然の子供」。
この時点で「地位のある人から信頼されている」という点においてハンドアウトを裏切り、特権階級という立場を利用した極秘情報の収集という重要な役目をこなせなくなり、シナリオの進行に支障をきたしています。
トーキョーN◎VAの公式リプレイ・スリードッグナイトなどを読んでみると、「神業」と呼ばれる固有ソースをどのタイミングで使わせるつもりか、というのが明確に記述してあります。
つまり、下手にハンドアウトに逆らってそのタイミングで神業を使えない=何かしらの必要な要素が足りなくてバッドエンドとなるわけです。

ハンドアウトを見てPCを考える場合、気をつけなければいけないことは「そのハンドアウトはどんな行動を求められているのかを把握する」ことです。
人数が多すぎて間に合わせになっているハンドアウトもないとは言わないが、おおよその場合は情報が分散され、そのPCがアクションを起こさないと何かしらのピースが欠けることになるように出来ています。
ハンドアウトに反する場合は、全てを把握した上で「自分はこのPCでも求められたことは全部こなせる」という自信がある時のみにするべきです。
それで失敗をしたと感じたら、セッション後に素直に謝りましょう。