お約束って何?

クトゥルフ神話TRPG (ログインテーブルトークRPGシリーズ)
私たちのサークルではFEARゲーが主に遊ばれていることは以前も書きましたが、私個人の交友関係にはどうも、いわゆる旧世代のゲームを好む人が多くいます。
新作はどうだとか旧作はどうだとかの論議はそこら中で行われており、それぞれの理由がそれなりに興味深いものなのでそれに関して言及する機会は多くなるかと思います。

今回はそんな議論の一つに、「FEARゲーはラノベやエロゲから引用したお約束を強要されるからオタク臭くてイヤだ」という意見があり、それに関して思うところがあったのでちょこっと論じてみようかと思います。

まず、FEARゲーの多くがラノベやエロゲのお約束を…という意見ですが、これはまったくもって否定する余地がありません。
公式ルールブックの参考資料にもアニメやラノベの名前が羅列されているし、パーソナリーや特技、アイテムの名称などにもそこかしこに影響が見られます。

ここまで読んでわかると思いますが、私はFEARゲーをオタク向けでプレイヤーを選ぶゲームであると断言し、擁護する気はまったくありません。
むしろ、ここで論じたいのは「お約束を求めるのはいけないことか?」という点です。

以前、ちょっとした偶然で「クトゥルフの呼び声」をプレイしたことがありました。
ゲームを始める前にそのゲームをよく知らない旨を伝えると、「現代日本を舞台にして、ホラー映画に巻き込まれるようなイメージのゲーム。実生活のつもりでロールをして、ちょっとわざとらしいくらいでも事件に巻き込まれていってくれればいいよ」という説明を受けました。
まあ、初心者対象の軽めのプレイということで十分な情報かな、とは思います。私は文学部に通う大学生を演じました。
ネット上に公開されているシナリオをプレイしたとのことなので詳細は伏せますが、私のPCは何かの儀式でも行われたかのような変死体を目にし、そのあまりの惨状にそこから逃げ出しました。
一通りのプレイが終わり、雑談ベースで反省会をした時、GMは私に「クトゥルフになれたPLなら、死体を見つけた時点で医学で判定して状態を調べたり、もっと周りの状況を隅々まで見たりするんだけどね」と言いました。
これもいわゆる「お約束」ではないでしょうか?
冒険者が偶然一堂に会して危機を悟ったらPTとして協力する、悪者に囚われたお姫様がいたら助けに行く、もっと根源的なところに行けば勧善懲悪だって「お約束」ではないでしょうか?

要するに、プレイするに当たってその環境に「お約束を強要する」のは決してFEARゲーだけではないということです。
むしろ、そのゲーム、その卓に求められるお約束に気付かない、気付いても頑なに拒否するのはゲームの進行を妨げているのではないでしょうか?

TRPGは自由な発想のゲームであり、型にはめた行動を「しなければならない」のはナンセンスだと言う考えの方が少なからずいらっしゃるようにお見受けしますが、「お約束に従う」事の意味をもう一度考えてみませんか?