ロールプレイがやりにくい?



FEARのゲームが演出優先で言った者勝ちのゲームである、というのはTRPGをプレイする方々には有名な話かな、と思っているのですが。
皆が口を揃えて演出優先だと評するという事は、ロールプレイをする環境(演出をする環境)が整っているゲームである、と判断できそうなものですが…そうでもないようです。

先日、とある方から「FEARのゲームはロールプレイがしにくい」という意見をいただきました。
「FEARのゲームはシステムがごちゃごちゃしていて、システムを追っているだけでゲームが終わってしまう。システムがロールプレイを手助けする環境ではない」という理由でした。
これは確かに、なるほど…と思います。
言われてみれば昔のゲームは行動宣言が日常動作的なものであり、行動宣言とロールプレイはとても近いものでした。
昔なら「踏み込んで剣で斬り付ける」だったものが、FEARゲーでは「エンゲージに移動して○○を使います」と言う感じ。どちらがロールプレイに近いかは一目瞭然でしょう。
クトゥルフなどは能力値もほとんど全てが日常動作に関するものであり、ロールプレイしかしないゲームと言っても過言ではないように思います。

では、FEARゲーはロールプレイに向いていないシステムでしょうか?そうだと言い切ってしまうのは早計です。

FEARゲーは「テンプレートのゲーム」だという説があります。
FEARゲーは導入→情報収集→イベント→情報収集→戦闘…と、ある程度お決まりのパターンをなぞっていれば基本的にクリアできる、というお話です。
確かにFEARゲーは、どんなロールプレイをするかとはまったくかけ離れた部分で、必要な条件を黙々とクリアしていけばちゃんとエンディングまでたどり着けるようになっていることが少なくありません。
つまり、FEARゲーは演出とシステムが根本的に乖離しているのです。

「やっぱりロールプレイに向いてないんじゃないか」と思いますか?
私はまったくの逆だと考えます。

先ほど例にあげた「昔のゲーム」では、行動宣言と演出が密接な関係にあるので、敵にダメージを与えたい時は「剣で斬り付ける」と言うしかありません。
しかし、FEARゲーでは「では、○○の能力を使います。〜〜が起こるという演出で」と、本来の効果とはかけ離れた演出を織り交ぜることが出来ます。
これは極端な例ですが、要するにFEARゲーは「システムが独立して機能するため、システムに縛られずに演出をすることが出来る」という事です。
システムがロールプレイに関知しないからこそ、ロールプレイを自由に出来るゲーム。
それがFEARの特徴であると思います。