ダブルクロス批判

ダブルクロスThe 2nd Edition
個人的なポリシーなのですが、「嫌いなものの悪いところだけをあげて批判する」ということは非常に愚かしいと思っています。
「好きなものの悪い部分を認めてなお好き」「嫌いなもののいい部分は理解したうえで、それでも嫌い」というところまで考えないと意味はないと思っています。
好き嫌いがあるんだから多少の色眼鏡は仕方ないと思いますが。

というわけで、自分が好きだと豪語してやまないダブルクロスの悪い部分、というのをはっきりさせてみようかと思います。

とりあえず目に付くダブルクロスの悪いところ。
・登場侵食率によるシーン登場の制限。
・乱数の幅の大きさ。
・戦闘のバランス。
・テキストの校正不足。
・ルールブックの見づらさ。
よく考えればまだあるかも知れませんが、ぱっと思いつくのはこの辺り。
上から掘り下げて行こうと思います。

・登場侵食率によるシーン登場の制限。
ダブルクロスを含むFEARのゲームは演出を重要視しています。
ということは、演出は自由に出来るべきであり、シーンへの登場も積極的な方がいい。
どうせ登場されたら困るようなシーンはGMからストップがかかるはずです。
(この理由により、登場判定が必要なFEARゲーには懐疑的です。N◎VAに関してだけは、登場しないシーンで手札を回すという必要性があるから許せるかもしれない)
ダブルクロスにおいては登場は自由ですが、登場すると侵食率が上がると言う代償があります。
これにより、ミドルシーン終盤になると「やりたい事があるのに出るに出られない」「やることはもうないのに侵食率が足りないから無意味にシーンを要求する」という現象が起こります。
ロイスの概念で人と人との繋がりを補強しているのに、侵食率に邪魔されて関係を深めるシーンを作れなかった…などとなっては本末転倒です。
何度か特殊ルールを導入し、登場侵食率はなしでのプレイをしたことがありますが、他に侵食率を追加するギミックがあれば問題のない侵食率でクライマックスに突入できました。
せめてダイスではなく固定値で上がっていくこととして、侵食率を自分でコントロールしながらシーンを作っていけるシステムの方がよかったのではないでしょうか。

・乱数の幅の大きさ。
ダブルクロスのダイスロールは、理論上、無限に上昇し続けます。
理論上というならナイトウィザードセブン=フォートレスもそうなのですが、ダブルクロスでクリティカルを7まで下げてダイスを一個振った場合と、ナイトウィザードでクリティカルが7だった場合を比べても、振り足しが起こる確率は倍近く違います。
ダブルクロスで振るダイスの数を考えれば、どれだけ振り足しが起こりやすいかは明白かと思います。
クリティカルが7でダイスを10個振った場合、一個も振り足しが起こらない可能性は実に0.03%未満になります。…が、それでも起こるんです。実際に目撃もしました。
要するに何が問題かというと「期待値が求めにくい」です。
期待値でどれくらいの能力が出せるのか、というのはGMが難易度設定をする時の重要なファクターです。
それが求めにくいと言うことは、シナリオを作る、GMをやろうとする際には大きなマイナス要因です。
実際、うちのサークルにはコンスタントな期待値が30台のPL(私)と50台のPLが混在しているので、私に合わせると弱すぎ、向こうに合わせると強すぎると言うGM泣かせなバランスです。

・戦闘のバランス。
先日散々褒め称えた戦闘バランスですが、じつはここにも問題があります。
それは、命中率と攻撃力が直結している点です。
公式リプレイ「コントラストサイド」で、こんな場面があります。
「受けが出来ないほどの達成値を出すか、受けられても倒せるくらいの攻撃力をたたき出さないと」
これを見て、白々しいな…などと思ってしまったわけです。
なぜなら、二つの選択肢があるように見えて、実はやってることは一つ、全力攻撃でしかないと言うところ。
本来、攻撃は大技ほど当たりづらく、小技で確実に当てて隙を作って…というのが常道だと思います。
特に、上記のように達成値の期待値が求めにくいので、下手をすると一撃で死んでしまいます。
まあ、その為の防御、蘇生エフェクトではあるのですが…
逆に、ある程度の防御力を確保していて、PL達のダイスが振るわなかった場合、一方的な虐殺になってしまう可能性すらあります。
こういった事故が起こりやすい環境は、バランスが悪いとしか言いようがありません。

全部書ききろうとしたら長くなり過ぎたので今日はここまで。
ルールブックの書式については明日書きます。