シナリオの理想

昔、どこだったか忘れたけれど「ミドルフェイズにはGMは何も言わなくてもストーリーが進んでいくくらいが理想」というのを読んだ覚えがあります。
実経験と照らし合わせてみると、なるほど、と思うところがあります。

オープニングでしっかりモチベーションを与えることに成功していれば、PC達が行うべき行動指針はある程度定まってきます。
そうなれば、PCらしい行動をPLが宣言していくことで、GMが用意していたシーンをなぞるよりも、キャラクターが「活きた」演出が行われていくはずです。
あとは、求められた情報以外にGMが口を出すべきことはありません。
目標をぶれさせない導入と、自力でシーンを作っていける主導的PLが揃って初めて完成するプレイスタイルであって、全員がそれぞれの役割をこなしきり、楽しむことが出来れば確かに理想と言えるかもしれません。

この場合、シナリオの準備も、あまりごてごて細かく書いていてはせっかくのPLの意思を妨害することにもなり、足かせにしかならなくなります。
予定外の部分はアドリブに頼ると割り切って、導入と真相(結末)だけ用意するくらいが丁度いいでしょう。

ただ、実際にはオープニングだけで上手く引っ張ることが出来ずに、ミドルフェイズにどこかで詰まったり、間違った方向に突き進んだりしてしまう度に口を挟み、後押しをしたり方向修正をしたりしなくてはなりません。
そうなると、どこで詰まるか、間違えるかというポイントを想定し、その対処法を用意しておく必要があります。
万全を期すのであれば、PLが全員地蔵だったとしてもシナリオが最後まで走れるよう、最初から最後までGMが喋り続ければ終わるように詰め込まれたシナリオを書いておくことが理想と言えるかもしれません。

つまるところ、用意しておくべきシナリオの「理想の形」は、それをプレイするPLの能力次第で両極端である、と言える訳です。
利便性を考えるのならば「細かく書いておいてそこから逸れたらアドリブでプレイ」がいいのかもしれませんが、細かく書き込んでしまうとシナリオ自体に愛着が湧いてしまい、そこから著しく逸脱するのを歓迎できない心理状態になりがちです。

私が所属するサークルでのプレイでは、私も最初は比較的細かくシナリオを書いていく方でしたが(A4用紙で3〜4枚+その他シート類)今ではメモ書き程度の情報の羅列(A4用紙半分+シート類)くらいしか用意しないようになりました。
というのも、細かく用意してもPLがその通りに進んでくれることが極稀で、メモ書きで済む程度の情報しかいつも利用していないことに気付いたからです。
かといって、ミドルでGMが発言しないで済むような優良環境というわけではなく、脱線が激しい割りに、無理矢理方向修正するよりもアドリブでやりたいようにやらせるほうが面白いと考える私自身の悪癖の所為なのですが。

しかし、サークルで使用するフォーマットのシナリオをコンベンションでプレイできるか、というと、なんとも自信がありません。
シナリオ内で「情報さえ集めれば自由に動いていいよ」という書き方になっている部分で停滞してグダグダになってしまう気がするからです。
コンベンションでもGMをしたことはありますが、同じシナリオを二回プレイしてPL能力の上と下の格差を認識するような結果になりました。
いつ行っても上の人たちに当たれるとは限りませんし。

皆様は自分のプレイ環境の特徴をどう捉え、どんなシナリオの書き方をしていますか?