初心者対応〜本編〜

さて、一日空きましたが前回の続きです。
ネタ切れを恐れてネタがあるうちに時間稼ぎをしようとか思ってませんよ?(ぉ)

とまれ、今回は「実体験に基づく、初心者に易しい対応」についてです。

さて、TRPGに限らず「未経験者に如何に体験させ、如何に興味をもって続けさせるか」というのは趣味分野に関して重要な命題です。
この命題を考えるにはまず、「初心者とはどんな人物か」というのを考える必要があります。

よく、TRPGを知らない人にやらせてみようとする時に「自由度が高くて好きなことが出来るのがTRPGだから、何をやってもいいよ。問題があったら周りがフォローするから」と説明する人がいますが、これは説明としては「最悪」です。
なぜなら初心者とは「何をやればいいのかわからない人」だからです。
何をやればいいのかわからないのに、何をやってもいいと言われたら何もしようがありません。

たとえば、ゴルフを思い出してください。
ホール(シナリオ)が目の前にあり、クラブとボール(キャラクターシートとダイス)を渡されて、「さあ好きにしたまえ」と言われても、ゴルフのルールを知らなければ、クラブとボールをどうやって組み合わせるのかでまず思い悩むでしょう。
かろうじてクラブでボールを打てばいい(キャラシーの数字とダイスで判定をすればいい)と気付いても、どの方向に打てばいいか(なんの判定をすればいいか)はわかりません。
ホールに沿って進めてカップにボールを入れればよい(シナリオに沿ってロールプレイをしてシナリオをクリアすればよい)とわかっても、クラブとボールの使い方に気付かずにクラブを杖代わりにしてボールは手に持ち、散歩しながらカップに向かってボールを投げ込むかもしれません(TRPGに具体的にたとえるのは難しいけれど、技能などの使い方がわからずに迷走してる感じでしょうか)。
ただ、やはりボールを手にもって歩き出すほどの行動力がある人は少数派で、「何をしていいかわからずに途方にくれる」という人が大半だと思います。

ゴルフであれば、「最初はドライバーでフェアウェイを狙うんだよ」とか、ラフから打ち出すのにパターを持とうとしたら「それじゃなくてこっちのクラブを使うんだよ」とか、バンカーにはまったら「サンドウェッジで砂を叩いてはじき出すんだ」とか、先輩なりキャディなりが助言をするはずです。
そういった助言に従っていけば、下手なりに、いつかはカップインすることができるでしょう。

では、TRPGではどうでしょう?
初心者の人に「では君のシーンだ。君の好きなシーンを演出してくれ」とか言っていませんか?
この場合、たとえば「朝起きて学校に行くシーンなんだけど、普段の登校はどんな感じ?」とか想像しやすいところから聞いてみたり、
冒険者が仕事の依頼を受けるシーンだよ。お金に困ってるけど時間はある時に、日雇いのバイトに誘われたような感じかな?給料は十分にもらえるみたいだ」と、現実にたとえて少しでもわかり易くする努力をするべきでしょう。(たとえ結果として空回りに終わったとしても)

また、ゲーム的にはどうすべきかというのがわからない時には、人間は基本的に「自分の経験」を参考にします。
たとえば
GM「君のいる建物の一つ上の階で爆発が起きたようだ」
初心者「慌てて非常口を探して逃げ出します」
とかですね。
普通に考えればそれも正しい選択肢ですが、ゲーム的には原因を追求してもらわないと話が進みません。

そういう時の対応として
GM「では、非常口に出ようとすると扉が開かない。閉じ込められたようだ」
などと機械的に道を潰したらどうなるか。
「逃げることは出来ないんだから原因を追求してくれるだろう」と思うのは「出来る人の論理」です。
「出来ない初心者」からすれば、「逃げ場をなくして追い詰められた」と感じられるでしょう。その時点で初心者はテンパって動けなくなります。

では、そういう時に妥当な対応とはどうだろう、という一つの案です。
GM「普通の人ならそうかもしれないけど、この世界では君は超人なんだ。原因を究明して他の人たちも助けないと、って言うほうが自然なんじゃないかな?」
と、提案してみます。
初心者としては「宣言を潰される」のと「代案を提示される」のでは、閉塞感が大きく違います。
事実、私がTRPGを広めたメンツにも似たような「提案」の形で伝えていましたが、言われて初めて「ああ、そういう風に出来るんだ」という事も多かったです。

初心者にTRPGをプレイしてもらうのに必要なことはまず、「何が出来るのか」という選択肢を、ぶっちゃけて伝えてしまうことだと思います。
「選択肢を選んでるだけでゲームが進むならCRPGでもやってろよ」と仰る自称上級者の方もいらっしゃるでしょうが、CRPGしかやったことがない初心者からすれば選択肢が二択や三択ではなく多岐に渡っているというだけで革新的です。
選択肢にない行動を考える楽しみは、一緒に卓に着いたベテランのプレイを見て、憧れて、自分で考えるようになるものだと思います。