初心者対応その2

実はまだまだ初心者に関しては書くことがあります。
この一連の記事は毎日更新で最後まで書ききりたいと思いつつ、今日は「初心者向けのシナリオ」についてです。

また実体験による話なのですが、先日初めてメタルヘッドに参加したときのこと。
各PCの立ち位置を職業で指定して、職業ごとの差については説明を受けたのですが、あとはキャラメイクの資料にあるフレーバーから「こんな世界なんだな」と推測した程度でした。
で、実際にプレイ中。
「誰に情報を求めますか?」という質問に私は固まってしまいました。
自分のキャラは普段、どうやって情報を得ているのだろう?裏街道に馴染みの情報屋でもいるんだろうか?それとも、そういう情報収集を専門とした機関があってそこに伺いを立てるのだろうか?そもそもこの世界にはどんな組織、機関があるんだろうか?
とりあえず「じゃあ、馴染みの情報屋がいると言うことで」とお茶を濁しましたが、そこで情報収集に失敗して、次はどうやって情報を…となると、自分ではどうしようもなくなっていました。
そこで、GMが「グーグルみたいな情報検索サイトがあるよ」と言ってくれたので、そこを活用して情報を調べることとなったわけですが…そんなところから今回のお話に入ります。

上記の場合、GMは「情報収集をさせたい」のならば、「情報収集の手段になる公式設定」は事前に明かすべきでしょう。
でなければ、そのシステムに関して無知な人はいくら悩んだってその手段は出てきません。
これは昨日の日記に書いたことです。

では逆に、「この世界にはこんな組織とあんな組織があって、思想的にはこっちはこういう感じで、協力を求める場合はこちらにはこういう見返りを好む嗜好があって…」と、あらゆる情報をあげ連ね、その上で「じゃあ、どうする?」と聞いたらどうでしょう。
それだけ選択肢があるなら選ぶことくらいはできるだろう…と思ってしまうのが落とし穴です。
万年初心者の私から言わせてもらえば、多すぎる情報を口頭で伝えられても覚え切れません。
覚えられないならメモを取れと言われるかもしれませんが、初心者としてはどこまでが重要な情報でどこからが効果の薄い補足説明なのかわかりません。
メモ欄なんてそう大きくもないし、口頭で並べられるのと同じスピードで筆記など速記術でもマスターしていない限り出来ません。

というわけで、世界観を初心者にもわかりやすく見せるためには「意図的に世界設定をシャットダウンする」必要があるのではないかと思います。
以下にはその例をいくつかあげてみます。

まず一つ目。最近のCRPGにも時たま見られる手法です。
PCの立場を、何らかの方法で世界観を知らない設定にし、他のPCと絡んでいくことで世界を理解していってもらう方法。
単純に記憶喪失であるとか、異世界から来たので世界の常識が食い違う(FF10など)、シナリオ開始時には世界の真実に気付いていない(NWリプレイ「紅き月の巫女」など)などです。
これらは、一人ないし二人だけが世界観を知らず、回りがベテランで引っ張っていけるときに使いやすい方法です。

次に、「外の世界を知る必要のないシナリオを組む」という方法です。
一番わかりやすいのはハック&スラッシュですね。
「君たちはもともとPTで、ダンジョンにもぐってもらう。判定の仕方は随時教えていくから、適度にロールを挟みたまえ」
ここまで乱暴なものはさすがに少ないでしょうが、変に組織や社会の絡みや専門用語を覚える必要がないので、初心者から見ればわかりやすいことこの上ないです。
これでも、ベテランのゲーマーが引っ張っていきながらモンスターの習性やトラップに関する基礎知識を教えていくのが望ましいですが、初心者修練用のダンジョンだ!といって致死性の低いトラップを満載にすれば全員初心者でも切り抜けることが出来るでしょう。
少し上級になると「特定の組織の中で起こる事件だからその組織に関してだけ説明すればいい」など、情報を限定することでそれ以外の情報をシャットアウトする方法もあります。

要するに「初心者向きのシナリオとは、必要な情報量を調節して、パンクを防いだシナリオである」と、私は考えているわけです。
世界観が深く作りこまれてるから面白い、と言われる世界観を好む方々は、「この世界では〜は〜なんだよ」と初心者に次々と情報を継ぎ足すこと…ありませんか?
情報量過多も、初心者が動きづらくなる要因の一つです。