楽しいゲーマー

最近、ソングシーカーから始まり立て続けにリプレイなどが発売されています。
今月に入ってからだけで、ソングシーカー、ゲヘナ5巻、ダブルクロスオリジン3巻と読んでいます。
リプレイに限らず、TRPGにまつわる本は山のように出ていますね。
ゲーマーズフィールドロール&ロールなんかも最近は読むようにしています。
で、今現在読んでいるのは鈴木銀一郎先生の「ゲーム的人生論」です。
まだ読み途中なのですが、今日はそれを読みつつ思ったことについて。

まず、この本を読んで初めに思ったこと。それは「面白い」と言うことです。
変なことを言っていると思うかもしれませんが、恥ずかしながら、大学に通っていた時分は「弁論部」なるものに在籍しておりまして、啓蒙的な人生論とか宗教関連やらという本(を読んでいる先輩諸氏)には比較的出会う機会がありました。
しかし、そんな人たちの話を聞いていると「そんなことって日常的に感じる一般論の一つであって、わざわざ勉強をして学ぶことじゃないんじゃないか?」という疑問にぶつかることが多々ありました。
いったい、何をそんなにありがたがって、何を思ってそれを高らかに謳いあげているのかと。
以前、s2_it氏に頂いた意見の中にあった「自分を格好良く見せたいが為の感想」というのでしょうか、読書をしている自分が本を読まない他者より優位に立っているとでも思っているんだろうかとか、そういう主張をする人が多かったのです。
なので、話を聞けば話を聞くほどに、そういった本を読もうという意欲は消えうせていきました。
疑問や反論を口にすると「それは本を読んでいないからわからないんだ」とか言われ、結局それを自分で説明できるほどの理解は持っていないのかとため息をついたりする擦れた後輩でしたね。
(余談ですが、部の中では「無知であるが故の切り口を持った意見もあるはずだ」という主張の元で勉強しないままに部会に参加すると言うキャラ立て(?)をして逃げていました)

まあ、なので、ソングシーカーのプレイヤーさんだと言う興味だけで読み始めた「ゲーム的人生論」には、あまり期待はしていませんでした。
しかし、読んでみると、これは面白い。
人生経験をシミュレーション的に分解して原因を究明する、ある種の独特でシステマチックな論証法もさることながら、何が面白いかといえばやっぱり、「ゲーマー」であることだな、という点が。

幼稚園児からかるた遊びや将棋(といっても坊主めくりはさみ将棋など)を遊び、小学校で将棋部、中学でマジック・ザ・ギャザリングに出会い、高校で麻雀をやるようになり、とある意味エリートクラスの電源不要ゲーム人生を歩む私ですが、やはり一番印象深いのは、中学で始めたMtGで、高校時代に出会った仲間達の事です。

MtGには公式にプロとアマの概念があり、とあるプロ集団と知り合う機会に恵まれました。
ゲームがゲームだけにみんな若かった…というのも原因の一端にあるのかもしれませんが、プロ意識と言うべきか、とにかくみんなのゲームに対する熱意が凄い。
仲間内で作ったデッキの品評では、至らない点があると原形を留めないまでに作り直されたりすることもザラ。
ブースターパックのソート(カードがパックに封入される時の順番の法則性)を把握するのなんて当たり前で、プレイミスなんかしようものなら凹むまでなじられました。
ただ、そんな罵りあいをする場においても、罵られる方も含めて、全員が楽しんでいました。
と言うのも、その場にいた全員が全員、プロになるくらいそのゲームをやりこみ、自身の体験から導き出した結論を理論的にぶつけ合って、さらに上を目指そうと言う姿勢があったからです。
「なんで?」という疑問をぶつければ、しっかりと理論を持って返ってくる。
この環境を楽しめた理由の一つが、今、目の前にあるゲームが題材であるおかげで、曖昧な推測があれば実際に試し、経験に変えることが出来たおかげだと思います。

人からの受け売りでなく、自分で経験して、検証して、論じる。
口で言うのは簡単ですが、人から言われたことや本で読んだことを自分の経験と勘違いする人は非常に多いです。
思慮不足を指摘されてもふて腐れないとか、真っ向から反論を受け止めるなんていうことはなかなかできることではありません。

一概にこれが正解などと言う結論は無く、ただし、細かな検証や試行を繰り返すことでより高みを目指すことができる。
こういった成長を生み出す土壌として、TRPGを含む「複数人で遊ぶ、1プレイのスパンが限られたゲーム*1」と言うのは重要且つ貴重であると思います。

やはり、ゲームに対して深く試行し、思考することに慣れている人たちは、他のジャンルに移っても「検証の大切さ」がわかっている所為か、人並み以上程度には簡単に到達します。
不思議な話ですが、私はMtG仲間に麻雀を教えられ、0.3という安いレートで毎回1万近く負けてしまうような、仲間内では最弱と言えるへっぽこだったのですが、専門学校の友達と麻雀を打って負けたことがありません。
(その時の相手はピンくらいでよく打っていたという人だったりもしたんですが*2

いわゆるゲーマーの理論を面白いと思ったり、ちゃんと納得できたりする理由はこの部分にあるのではないかと思います。

*1:1プレイのスパンが長くなる、MMOなどでは試行に時間がかかりすぎて、一定の期間内で検証の場につく機会が必然と少なくなるため

*2:麻雀では上手い人ほど高いレートで打つ傾向がある