モチベーションってどうよ

言葉の意味だけ言うのであれば、動機付け…つまり、なんらかの目標に向かわせる為の理由を与えること、その為の刺激や熱意のことを言います。

辞書によると、モチベーションには「内的な動因」と「外的な誘因」があるらしいです。
漠然と起こっている物事への正義感だったり熱意だったり、というのは「内的な動因」、誰かの依頼を受けたり事件に巻き込まれたりというのが「外的な誘因」と言えるでしょう。

シナリオを作る際、「シナリオの解決に対してPC達はモチベーションを持っている」というのは、絶対的に重要な項目です。
TRPG経験者なら経験則的にわかると思うのですが、モチベーションがない状態でアクションを起こすのは非情に難しいです。…というより、まったくモチベーションがない状態でプレイをするなんて、よっぽどGMが酷かったのでなければ経験することなんてまずないと思うんですが。

依頼を突っぱねるとか、保身に走って事件から逃げ回るとか、そんな、そもそも何をしにきたのかと問い詰めたくなるプレイングでなければ、基本的に自分のPCが何をしないといけないのか、というモチベーションはオープニングでほぼ把握できるのではないでしょうか。
というのも、以前シナリオの理想で触れたのですが、私にとっては「オープニングでモチベーションだけ確認させたら、ミドルフェイズはGMが口を挟まなくても進行する」というスタイルを支持しているからなんですが。

「シナリオ解決に対するモチベーション」の大切さは、今更語ることも無いだろうと思うのですが…モチベーションがそれしかないのでは不十分です。

以前、コンベンションでナイトウィザードに参加したときのことです。
PCはハンドアウトで、学生と、学園に派遣された外部の協力者に二分されることになっていました。
私は外部のPCをプレイしたのですが、「学園内にエミュレイターがいる。そのエミュレイターに気付かれないように居場所を特定しないとどこへ逃げるかわからない上に、半端な追い詰め方をすると周辺一帯を巻き込んで自爆する」と説明され、情報の取り扱いに注意するように、と事あるごとに念を押されました。
結局、学園内に潜んでいると言うことまでは確定情報だということで、外部からの協力者にはその事情を打ち明けました。…そこまでは良かった。
問題はこの後で、情報を漏らすわけにいかないからには、外部の人間と学生の間に接点がない。
結局、PTが二分されたままタイムオーバーになりかけ、フォートレスも戦闘もなしの駆け足でとりあえずエンディングまで流すことに。

…という経験談で、何がまずかったか、わかっていただけるでしょうか?
そう、このセッションではPCは個別導入であるにもかかわらず、PC間で協力するモチベーションが存在しないのです。
プレイ後、「なんで学生側と絡んでくれないんだ」とGMに文句を言われましたが、情報を漏らさないようにと念を押してきたのはGMだし、いくら背後にPLが透けて見えるといっても相手は一介の学生の一人。GMに念を押されるほどの情報を漏らすにはリスクが高すぎる割に、メリットはかけらも見えません。しいて言うなら頭数?
せめてPC間コネクションルールを採用して、元々知り合いで信頼できるから…とかがあればこじつけようもあったんですけど。
もしくは、虱潰しに探していけば何とかなるような依頼で、頭数>信頼なシナリオであれば、相手がウィザードだとわかった時点で協力を求めるかもしれません。

最近はPC間ロイスやPC間コネで、PTを組むモチベーションはプリプレイの時点で克服されている場合が多いです。
では、自分が書いたシナリオの中で、「PCたちにやって欲しいこと」全てに、ちゃんとモチベーションをセッティングしていますか?
もちろん、いちいち促さなくてもPLが自分で設定していってくれる方がいいのかもしれませんが、PLに任せっぱなしで物語があらぬ方向に進んでいっても、文句を言える立場じゃないです。

「シナリオのターニングポイントに立った時、GMの想定した方向に進んで貰えるようなモチベーションはちゃんと用意してあるか」

シナリオを書く際には、この点に注意しておくべきかもしれません。