*Mから始まる…

最近、巷のTRPG関連ブログで「Aの魔法陣」が熱い模様。
安かったし興味もあったので読んでみた感想を書いて見ようかと。
ちなみに、まだ遊んではいないのでルルブからの印象を中心に書きます。
実際に遊んでみた感想と違うのは仕方がないと思っといてください。

まず、世界観に関しては…語るのも馬鹿らしい感じ。
ガンパレetc.を代表する芝村的世界のごった煮なので何でも出来ます。
一応、現代日常、ウォードレス(戦争モノ)、ファンタジーの三つの世界が提示されていますが、世界観ではなくただのデータ集。
ぶっちゃけ、数字の設定なんかの例として提示しておくから、これを元に自分の遊びたい世界を創造するべし、という啓示でしょう。

さて、問題はシステムの方です。
このシステム部分が話題を呼んでいるようなのですが…それに関して、個人的に特徴が出ていると思う部分を挙げてみたいと思います。
話しやすくするために、システムは大きく分けると二つの段階に分けられます。
・シナリオの進行(ターン制)
・判定方法(成功要素による判定)

まずはシナリオの進行方法について。
目的が先に提示され、規定されたターン制限(一人一回の行動宣言を一周で1ターン)の中でで一行動ごとに達成値を足していき、その合計が目標値を上回ればゲームクリアというもの。
この部分の特徴は以下の通り。
・目的が先に明示されている。
・(合間に話し合う余地はあるとしても)PCは必ず、順番に一行動ずつ行動を行わなければいけない(パスは出来るが遅らせる事はできない)。
・一周1ターンとして、ターンを重ねていくことでセッションが進行する。

目的が先に明確に…って、程度問題ではあるものの、TRPGでは確かにあんまり見なかったような気がします。
目的(勝利条件の解明とか謎解きなどなど)を自分たちで手探りで探し出していくからこそTRPGは面白いんじゃないかな、などと思っていたりするので、自分的にはあんまり好みではない…と思いつつ、実はこういうスタイルの遊びって、TRPG以外のところでは普通に慣れ親しんだものだったりもします。

「その場その場で提示される条件をクリアしていくことで得点を稼ぐゲーム」というと、ボードゲームなんかには割と多いです。
ボードゲーム版の指輪物語では、4つのステージに分かれたセッションを、それぞれのステージの勝利条件を満たしていって、最終的に指輪を捨てるところにたどり着ければクリア…とか、自分的には近い印象があります。
この部分に関しては、ボードゲーム的な運用をTRPGに持ち込んだ、というだけで目新しさは薄いかな、と思います。

次に、判定方法について。
Aの魔法陣では、他のゲームでは「技能」とか「能力値」とか呼ばれるものの代わりに「成功要素」というもので判定します。
で、この成功要素ってのがどうやって決まるかというと…上限は決まってるから設定に反しない範囲で勝手に決めろ、と書いてあります。(正確には、設定するだけならいくつ作ってもいいけれど1セッション中に使える数には制限がある)
で、GM(このゲームではSD)の宣言した難易度以上の数の成功要素を提示するか、足りない分をダイスで補うかすれば判定成功。
ルールブックにも載ってる判定方法は…

<例>
目的:花見を楽しむ
行動宣言:すでに楽しんでる人たちのところに乱入
難易度:3
使用技能:嫌いになれない性格、自然体、持ってきたあたりめ
三個の技能が宣言できたから判定成功。

みたいな感じらしいです。
これを見て、私が思い出したのは、実はこんなもの。
「<射撃><必殺の矢><貫きの矢><イカサマ>にスペードの4で達成値16」
…まあ、トーキョーN◎VAという奴です。
その場で組み合わせられる技能(成功要素)を組み合わせることで達成値(及び効果)が上がっていく、というスタイルはとても似てる気がします。
N◎VA-Dですら旧作のファンには「自販機ゲーム(判定さえしてればPLが考えなくても話が進む)」と揶揄されていたのに、達成値が一定を超えたら自動的にクリア…というのはいかがなものか。

こうして考えると、Aの魔法陣TRPGとして斬新である部分って「成功要素の設定がPL(及びそれに許可を出すSD)に一任されている」という一点、でしょうか。
これに関しての批評批判は、実際にプレイしてみないとわからない気がするので今回はあえて語りません。
ただ、今のところ、技能が実際に設定してあるゲームと比べてアドバンテージがあるか…というと、ちょっと疑問です。


ここからは戯言です。
Aの魔法陣…じつは、FEARゲーによく似ていませんか?
FEARゲーもAの魔法陣も、「セッションの進行を定型化(公式化)することでデジタルな運用をすることを目的としている」っていうデザインの共通点があります。
デジタルな運用という中には「偶発的要素の重要度を下げることによって失敗しにくくする」って言う点も含めて。
FEARの提唱するブレイクスルーシステムや、Aの魔法陣の基本的には判定にダイスすら必要がない部分にそれが伺えるかと。
で、FEARの場合は「公式と数字(運用方法とリソース)をきっちり揃えておくから、それに従っていけば遊べるよ」というのに対し、Aの魔法陣では「公式はあげるから数字は自分で考えろ」って言ってる、という感じに。

とは言っても、FEARゲーを基準にしたシナリオ、運営でAの魔法陣が回せるとも思えないわけですが。