一本道と箱庭

最近、自分の中でいろいろと革命中です。
今まではFEARゲー中心だった環境だったのに、最近はその他のシステムに触れる機会が増えてきたことや、今まで身内でばかり遊んでいたのに、ネットを介していろいろな方と出会い、意見を聞く機会に恵まれたりしたことが大きな理由なのですが、自分のプレイスタイルを見直し、改良する方法を模索している最中です。

そんな自分の中での課題の一つが「シナリオの書き方」なわけですが。
今までも、自分がどのようにシナリオを書いているか、とかは色々書いてきているのですが、先日、友人と話していて言われたことにちょっと疑問が。

「yatukazeさんのシナリオって一本道っぽいよね」
とまあ、そんな事を言われたのですが。
一本道シナリオというには私のシナリオは不親切すぎるよなぁ、と。

以下TRPG百科事典から引用です。

一本道シナリオ《用語》
話の筋が一つしかないようなシナリオ。結末や展開があらかじめ決定されていて、プレイヤーの行動によって既定のシナリオ進行がほとんど変化しないようなシナリオのこと。コンピュータゲームを批判するのに良く用いられた言葉だが、ストーリーパターンを追うタイプのシナリオであればTRPGでも一本道に近くなることも多いと思われる。
一本道でなくするためには、どのシーンでもキャラクターが失敗しうることやを前提として、引きだけに頼らないシナリオ構成にしておくことが重要であろう。設定と事件のいくつかだけ用意してアドリブで進めるという方法もあり得るが……。

一本道に対極としてよく言われるのが「箱庭型シナリオ」ですが、これは自分がたまたま調べた用語集では定義がなかったので自分の印象で書きます。

箱庭型シナリオ
特定の期間や場所など、用意された舞台の中でどこで何をするかは自由で、PC達の行動によって展開が変化していくもの。
どこに行ったら何が起こるかを細かく設定しておくゲームブックのような形式もあるが、最低限のことだけを決めておいてPCの行動によってアドリブで対応していく形が多いかと思われる。

自分としては、一本道といえるほどストーリーラインを特定しているわけでもなく、どちらかといえば箱庭型に近いシナリオ構成をしているつもりだったのですが…私に意見をくれた友人と私の認識の違いはどこから来たのでしょうか。

まず、私はどんな風にシナリオを作り、どんなマスタリングをするか。
以前、シナリオの書き方〜組み立て編というエントリで書いたのですが…私はクライマックスから逆算してシナリオを作ります。

それがどういうことかというと…Aの魔法陣的に説明するととても簡単だったりします。
まず、シナリオで起こる一番大きな事件「目的M」を起こそうとする犯人がいます。
犯人はシナリオ中、「目的M」を達成するために準備作業、「目的T」を達成するために行動をしています。
いくつかの「目的T」が邪魔されず、達成されれば、つまり犯人は「目的M」を達成できるわけです。
…なんだか逆にわかりづらくなりましたが、要するに犯人は何らかの目的のために、特定の思考ルーチンで動いている、ということです。
なので、私の書くシナリオは「どこに行ったら何がおきる」みたいなストーリーラインでもイベントトリガーでもなく、NPCの思考ルーチンが鍵になります。

しかし、短いシナリオとはいえ一人の人間(あるいは亜人種)の思考ルーチンを全て書き出す、というわけにはなかなか行きません。
なので、実際にシナリオに起こす際には、最低限のイベントトリガーのみを書いた5〜6行のものになってしまうわけです。

NPCは特定の目的に向かって行動をとる、とは言っても、そのNPCとどのように関わるかによってその行動内容は大きく変わってきます。
たとえば、敵対組織の本拠地を爆破しようとしている時、疑われて監視をされている場合と、まるっきり警戒されている場合で基地に爆弾を仕掛ける難易度が同じはずもなく、ともすれば失敗してしまったりします。
用意された舞台、NPCにどのように接するかによってシナリオが変わっていく…これは、私の考えの中では、箱庭型のシナリオと言えるのですが…

では、それが何故一本道と誤解されるか…ここが、私自身の悪いことでもあるのですが。
まず、NPCがPCと同様に思考を持って行動を考えていること。
それは当たり前じゃ?と思われるかもしれませんが、PCの動きを察知して情報を隠そうとしたり、裏をかこうとすると情報収集が困難になります。
そうなるとPCは、NPC接触してどうこうするよりも確定情報を集めることに躍起になります。
結果として、本人と接触する機会は減り、本人は自由に悠々と準備を進めて、結局は最終目的Mに辿り着くあたりでやっとPC達と接触するわけです。
そうなると、確かにPC(PL)には、起こることが確定しているMのことを調べて最終的に阻止することが目的の一本道シナリオに見えるかもしれません。

うーむ…でも、ミドルの1シーン目から「さあ、何かやりたいことはあるかい?」なんて言い出す一本道シナリオってどうなんだろう…いや、それはGMが不親切なだけだというのはわかっているのだけど。

NPCが多すぎても状況が長引くだけ、と思ってNPCが少なめで積極的に関わりに行きにくいのが問題なんだろうなぁ、と、先日のNPCの価値の時に思ったり。