デモンパラサイト発売後レビュー

先日散々扱き下ろしておいてちゃっかり買ってきました、デモンパラサイト
今回は実際にルルブを読んだ感想を書いてみましょう。

1000円という廉価でご奉仕されたこのルルブ。
このサイズの本で1000円というのはルルブに限らずほとんど前例がないのでは?
FEARのサプリなんかと同じくらいの薄さだけど、巻頭カラーはないものの表紙はちゃんとカラーだし、サタスペ等と違ってちゃんとカバーもついてるし、大丈夫なのか出版業界とか思ってしまう装丁です。

で、中身を見てみるとこれまたびっくり。
薄い分詰め込んであるのかと思ったら、適度に空白や図を入れてかなり見やすい仕様になってます。
ルールがどうこうよりもこのデザインフォーマットに驚きました。
今までSNEのルルブはテキスト詰め込みで画面はじにちょこっと絵が載ってて、見づらいなぁってイメージが強かったんですが、このルルブは今まで見た他のルルブと比べても見やすく仕上がってると思います。

世界観がダブルクロスにしか見えないのはまあ仕方がないので置いておくとして、少ない紙面で世界観が場所を取りすぎていないのは好感触。
書いてあることは少ないけど、必要なところだけピンポイントで書かれてるので読みやすいです。

紙面の大半を彩るのが、問題のルールセクション…と思いきや、結構な幅を占めてるのがデータセクションとチャート類。
ルール自体はよくまとまってるので、チャートだけ見てればゲームが出来ると言っても過言ではない感じ。
この安さ、この紙面の少なさでよく纏めたな、と素直に感心できます。

まあ、微妙にシステム自体とは関係のない話は置いておいて…置いておくまでが長かったのは気にしない。
問題の内容の方に行きましょう。

「あんだけ叩いといてそれか?」と言われるかも知れませんが、自分でもそう思いますが、これはいいゲームです。
ルールはシンプルだけど、悪魔化や衝動、それに振り直しなんかの特徴的な部分がしっかりと整備されています。
強いて言うなら、能力値が初期キャラでは最大でも4、期待値で2しかないのに、技能が10スタートとかなのはどうなんだろう?というくらいでしょうか。(基本判定が2D6なので8の差をひっくり返すのは不可能に近い)
まあそれも、技能をPTでバランスよくとって適材適所にすればいいことではあり。

ダブルクロスなどのFEARゲーの特徴といいますか、あれらのゲームはどうも「クライマックスの為だけのリソース管理」ってイメージが私には強いです。
だから、侵食率にしろ使用回数制限のエフェクトにしろ、溜め込んでおいた方が有利、みたいな面があって、序盤から中盤があんまりゲームらしくない。
ダブルクロスの欠点である「侵食率を気にする余りシーンに登場したがらない状況が出来てしまう」というのもその一環かと。

それに比べて、デモンパラサイト(というかSNEのゲーム全般?)は、序盤から中盤、クライマックスに至るまで通してリソースの管理があって、ゲームしてるなって気分になります。
情報収集でお金を使って袖の下…とかも、リソース管理の一環ですよね。
デモンパラサイトにも「〜円以上の食事で衝動が回復」なんてルールがあるので、お金の管理は割と大切です。

振り直しのシステムも、今までのSNEのゲーム(と言ってもSWとゲヘナAnしかやったことないんですが)に比べてブレイクスルーが意識されてるな、と感じて好感が持てます。
本来の意味のブレイクスルーとは違うのですが、お互いに攻撃を避けつづけてしまって戦闘が長引くとか、ダイス事故で重要な情報が手に入らないで行き詰まるとか、こういった事故が起こるとセッションが中だるみしてしまうので、PLの意思で自由に使うことが出来る(ただし相応のデメリットが存在する)ブレイクスルーシステムは必要だと、私は思ってます。

当初の印象が尾をひいて、どうもダブルクロスとの比較が中心のレビューになってますが、それを差し引いてもデモンパラサイトはいいゲームだと思います。
ダブルクロスで不満になっていた部分を適度に解消してくれてるシステムです。
これは遊んでみたいなぁ。誰か遊んでください(ぉ)。

…やっぱり、公式リプレイがアレだったのが悪かったんじゃないかなぁとか未だに思ったり。