主人公はやりにくい?

ハンドアウトを扱うシステムの暗黙の了解として、PC番号が若いほど主人公に近く、番号が大きくなるほど脇役という慣習があります。
コンベンションでのプレイや誌上の公式シナリオなど、PLの人数が確定できない状況でシナリオを組む場合、最大人数よりも少ない参加者しか得られなかった時に番号が大きい方から切り捨てられる為、いなくても問題のない役柄が割り当てられることが多いというのが理由だと思います。

私の経験上、初心者は4〜5の脇役的ハンドアウトを好んで取ります。
私自身も初心者の頃はそうだったので、思考的には近いのではないかと思うのですが、主人公という役柄は責任を伴い、決断をしなければいけない場面が多いような気がして難しそうに感じて、だったら脇役に落ちついていた方がよさそうだと考えます。
しかし、実際にプレイしてみると、主人公は話の主軸にいるので自然に巻き込まれていくのですが、脇役は自分でモチベーションをセッティングしないと取り残されてしまいがちで、結局は地蔵化してしまうことが多いです。

うちのサークルでプレイする際も、関わる情報は多い方がプレイし易いと言われます。
これは要するに、脇役よりも主人公の方がプレイし易いということなのかな、と思ったり。
GMをしていても、PC番号が大きい人ほど巧く立ち回ってくれないとフォローが追いつかなかったりします。
どうしても組織なんかのコネだったりとか、ドライな仕事の関係に任せてしまったりして、最後の一歩で危機的状況にまで首を突っ込む義理はなくなってしまったりとか。

とはいっても、実際に、息をするようにPC1の立場をこなす人と、どうしてもそれが出来ない人っていますよね?
出来ない人がいる、ということは、そこに難しさがある、ということです。
では、そんなPC1の難しさとはどこにあるのでしょう?

それは、物語の主軸にいる為、GMの想定した期待に応えないとシナリオが崩壊する可能性があること。
ある程度無難にさえ動いてくれれば、そこそこ慣れたGMであればいくらでも軌道修正して盛り上げてくれるんですが、余りにも突飛な行動しかしないとシナリオ自体が成り立ちません。
村でゴブリンを倒して欲しいと言っているのに、都会に出て歌手になることを夢見つづけて村を飛び出してみるとか。
実際にそこまで突飛なことをする人は(明らかに妨害目的でない限り)いないでしょうが、どこまでだったら対応できるのか、という不安は初心者に限らず、初対面の相手なんかでは不安になるのは確かです。

場合によっては、主人公=ヒロインと恋愛してうんたらかんたらというGMも、案外少なくないです。
与えられる情報が多い分、要求も多いというのが実情といえるでしょう。

要求を受け取って鸚鵡返しに出来るような、空気を読む、意図を汲む能力があって、さらに恥ずかしさに耐えられるなら、主人公は簡単に……実は結構難しいかもしれません、主人公。