GMテクニック?

GMをするのにどんなことに注意をすればいいか!という質問をもらって、そういえば、自分のマスタリングの傾向は書いたことはあるけど、もっと根本的なことは書いてなかった気がする…と思い至ったのでここでまとめてみようかと。
まとめるとか言いながら、凄く長くなりそうな予感。

まず、GMの仕事は大きく分けて以下の三つ。
1、セッションの準備
2、ルールのインスト
3、セッションの進行
それぞれに関して説明していきましょう。

1、セッションの準備
シナリオの作成、キャラクターシート等必要なシート類の準備、それから初心者やルールブック未所持の人の為にルールサマリーの準備も必要ですね。

キャラクターシートなんかに関しては言わずもがなだと思うので、シナリオに関して。
私がシナリオを作る際に注意することは大きく分けて二点。
・PLの自由度を奪ってしまってはいないか。
・指示不足で行き詰ることはないか。
気をつけているだけで、うまくいかない時は多いのですが…この二点が上手くいったシナリオは、後から見直しても出来がよかったと思えることが多いです。
自分の意思が反映されないゲームなんて面白くもないし、何をしていいかわからずに右往左往するのも時間の無駄…テンポが悪くなりますしね。
最初にシナリオを書いておく時点で気をつけなければならないのは、情報不足にならないことともう一つ、無駄な情報(過剰なミスディレクション)がないこと。
特にミスディレクションは、情報収集の過程でそれが間違いであることを解き明かしていくことが大切なのであって、情報収集していく段階で間違った情報が渡されては迷うだけです。これは著しくゲームのテンポを悪くします。

次に、サマリーに関してです。
キャラメイクに必要なスキル、クラスなどの表…は、まあ、できる限り人数分用意したいところですが、手間、コピー代、利便性などと相談しながら作りましょう。
問題は、実際にゲーム中に使うルールの分のサマリーです。
当たり前ですが、基本ルールや戦闘ルールなんかを端からコピーしていては作業も大変だし、目を通すのも時間がかかる。なにより初心者に全て覚えろと言うのも無茶な話です。
DXならタイタスを昇華した時の効果、メガテンなら命運の効果、アリアンロッドならフェイトの使い方などの重要な部分だけを箇条書きで数行でわかるようにしておくのが無難でしょう。

2、ルールのインスト
ルールのインストは、基本的に知らない人にしか意味がありません。
私自身がコンベではダブルクロスをよく立てるのですが、これは知名度が高いのでルールブックすら持参してきてくれる人が多くて助かります。
なので、ぶっちゃけると私はルールのインストについては下手です。なのでこれは参考にならないかも。

TRPGにおけるルールのインストは
・世界観に関する説明
・キャラメイクに関するルール
・実プレイに関するルール
に大別されると思います。

今回は前提が「初GM」なのでキャラメイクに関してはサンプルキャラを推奨したい…ですが、まあ、キャラメイクから自分達でやってこそ感情移入もできると言うものでしょう。
キャラメイクをインストしながらやる際に、一番重要なポイントは「出来るだけサマリーを細かく用意すること」だと、私は思います。
細かく、と言ってもこまごまとした文章を並べろと言う意味でなく、選択肢とその内容をリスト化したもの。
それと、それらのサマリーを全部見せるのではなく、選んで欲しい順番に見せていって傾向を説明しながら、全員で足並みをそろえて行くことも大切かと。
あんまり先走って待たせてもいけませんし、足が早い人に合わせると遅い人が戸惑いますしね。
サンプルキャラを使う場合でも、最低限、コピーをそのまま使わせずに書き写してもらうようにしましょう。
能力の確認をするとともに、作業を伴ったと言うことで少しだけ愛着がわきやすいです。
それと、個人的な感想ですが……サンプルキャラを使う際、ルールブック掲載のキャラクターイラストを見せてしまうとキャラクターの印象がイラストに引き摺られてしまうことがあります。
イラストが女だから女キャラじゃなきゃいけないのか?みたいな。
馬鹿みたいな話だと思うかもしれませんが、結構ありえるんです。なので、イラストは見せずに能力だけ書いたものを用意する事をオススメします。

実プレイに関するルールは、事前に説明してしまうよりもチュートリアル戦闘など、実践を踏まえて説明しましょう。
習うより慣れろ、と言うように、実際にやってみたほうが覚えます。
その時に、GM自身が迷わないようにメモを手元に置いておく、そしてネットで配布されているFAQやエラッタは面倒でも確認して置くようにしましょう。
ルールが必要な初心者は、自分に教えてくれるはずの立場のGMが迷っていると不安になりますから。

最後に、実はこれが一番大切かもしれない世界観に関する説明。
ここで注意をしなければならないのは、この世界でのPC達はどんな立場で、どんな事をして欲しいのか…というのを事前に説明してしまうことです。
英雄的に勇猛に振舞って欲しい、悪を見過ごしたり弱きに逃げ出したりするのはもっての他だ!とか、世界としては現代だから特殊能力は隠そうと頑張って欲しい、とか。
世界観から半歩ずれたキャラクターも格好いい時はあるのですが、それを許可してしまうと負担を受けるのはGM…よりも、そんなキャラクターと協力する事を強いられる他のPLです。
「突飛なプレイをしても話をまとめられるのは世界観に対する相応の理解と能力があるからだ」
と言うことを念頭において、ダメなものはダメだとはっきり伝えましょう。

3、セッションの進行
実際にセッションを運営する上で大事なのは………語りつくせないほど大量にあるんですが。
人に言われてなるほどーと思ったり、もっとも根本的な部分で注意しないといけないと思ったのは以下の三点。
・テンポよく進める。
・PLの発言には必ずレスポンスを返す。
・行動指針はぶっちゃける。

Mixiの方で同じ質問に答えられていた海鴎様が的確にわかりやすい例えを使っていたので引用させていただきます。
TVゲームでロード時間が長いと苛立つように、TRPGでも一番腹立たしいのは「詰まる」事。
ルールの説明でいちいちルールブックを確認しなおしている時間や、情報不足でどうやって進んでいいのかわからなくなっている時間……そういった時間は、ストレスにしかなりません。
何より、何度も何度もシナリオを停滞させてルールを確認するGMははっきり言って信用なりません。
卓を囲んだ全員が初心者であった場合、どんぐりの背比べであっても、GMは指導者と言う位置に立たざるを得ないものです。
こういった時間をそぎ落としていくことでテンポよく進めるのが、面白いセッションへの第一歩です。

で、もう一つ重要な部分を。
無茶な要求であっても、やってみたが上手くいかなかった…などと返していくことで、自分達の行動が物語に関わっているということを自覚できてよいです。
ダンジョンで壁に穴を開けて隣の部屋へ、などと言い出したら
「壁を切りつけると、かなり硬い材質で出来ている事がわかる。君達の武器では武器の方が損傷するか、穴を開けられたとしてもかなりの時間がかかり、大きな音も出るだろう。それで敵が集まってしまうこともありそうだ…それでも続けるかい?」
などと返してみるとか。
この辺りのアドリブは「慣れろ!」としか言えない訳ですが、初心者ほど、よく言えば固定概念にとらわれない、悪く言えば突飛な行動をとりたがるものですから。
やっぱり、せっかく思いついた事は無視されるより褒められた方が嬉しいですし、モチベーションもあがります。

最後に、行動指針のぶっちゃけについて。
基本的にTRPGにおいて、情報を出し惜しみしていいことはありません。
その情報を得るためにシーンを作って、失敗して終わる…そして別のシーンで再度判定…などとやっていると、どんどんダラダラしてきます。
それだけでなく、「何をしていいかわからない」と顔を突き合わせている時間も、著しくテンポを乱すことになります。
思いつかなさそうな雰囲気を少しでも感じたら、「今はこんなことが出来るよ」と選択肢を並べてあげるのがいいんじゃないでしょうか。
与えた選択肢の中から新しい行動を思いつくこともあるだろうし、一時は選択肢に従ってみることから次のシーンは自分で作り出せるようになるかもしれません。
ただし、これに関しては適度に、という程度にとどめておかないと、PLの自由意志を阻害することになります。
さじ加減に気をつけてください。


さて、本格的に長くなってまいりましたが、こんなところでしょうか。
これは私の経験則なので、万人に当てはまる方法ではないと言うことはご了承を。
もっとこうした方がいい!と言うようなアドヴァイスは常時受け付けております(笑)