フレーバーが作るシナリオ

デモンパラサイトダブルクロスしかり、似てる!と評されるシステムは数多くあるわけで。
今回とりあげるのは、最近巷で話題になっているアルシャードガイア…と、似ているともっぱらの評判のナイトウィザードです。

アルシャードガイアの発売当初、FEARの公式Webラジオで製作者本人が「ナイトウィザードで培ったノウハウを活かした」と発言していただけあって、アルシャードガイアナイトウィザードの影響を強く受けた“後継作”とも言える作品に仕上がっています。
私の身内、知り合いからもナイトウィザードに近い、むしろ世界観はほとんど同じだ…という意見が多発しておりました。
では、本当にそうか?と思い、試してみました。何をしたかといえば、今までナイトウィザードで作ったシナリオをアルシャードガイアにコンバートできるかどうかを確認してみたのです。

結果から言うと、私には不可能でした。
シナリオ次第で出来る人は出来るのでしょうが、少なくとも私のシナリオでは無理。
それは何故か、と言えば似ている似ていると言われていた世界観が違い過ぎるためです。
お互いに現代ファンタジー、現代に剣と魔法を持ち込んでいる、世界の常識としては魔法の存在は隠されている、補助組織の存在などなど…確かに設定は似通っています。
それなのに同じシナリオが再現できないのは何故か…といえば、もっと狭い分野での単語、設定が大きく違っているからです。

例えば、私が昔書いた「今宵咲ク真紅」というシナリオでは、双子の人造人間が、自分を作った研究者が死んでしまった所為で正しい指示を受け取ることが出来ずに暴走するという話でした。
無限回廊」では、魔王の力を秘めて転生し続ける主人公が、同じく転生し続ける二人のヒロインの間で揺れる…という話でした。
共通項として、用意されているキャラクタークラスに依存したシナリオ作りをしている、というポイントがあります。

アルシャードガイアでは人造生命を保証するルール、キャラクタークラスはありませんし、魔王の力を宿した主人公はダンピールで再現できますが、転生前の記憶なんかに関しては再現できません。
強いて言うなればレジェンドなのでしょうが、レジェンドのクラス説明には「これから伝説を残すもの」であって、過去の伝説の存在と言うわけではありません。
その辺りを踏まえれば、私の作ったシナリオはナイトウィザードらしい、アルシャードガイアで再現するには向かないシナリオと言えるでしょう。

だからナイトウィザードのほうが優れてる!とか言う気は欠片もなくて。
むしろシステムとしての完成度は圧倒的にアルシャードガイアの方が高まっていると思います。
ここで言いたいのは、現代ファンタジーだとかそんなにおおまかな分野で似ていたとしても、システムで再現されるキャラクターによって作れるシナリオも大幅に変わる、ということで。
転生者や人造人間をネタにしたシナリオがナイトウィザードで作れるように、ダンピールやフォックステイル、オーヴァーランダーをネタにしたシナリオは……あれ?ダンピールはまだしもフォックステイルは人狼で、オーヴァーランダーはV3対応で再現できる?…いや、V3まで使わないと無理なのだと納得しておきましょう。

デモンパラサイトダブルクロスと同じだ、と叫ばれていた頃も思ったのですが、そのシステムで生み出されるPCはどんな人物かとか、そういったフレーバーとして処理される部分をシナリオライターが上手く処理をすれば、そのシステムらしいシナリオ、そのシステムでしか再現できないシナリオと言うのは少なからず出来るのではないかと。
TRPGが未だに新商品を出し続けているのは、今までのシステムでは遊べない世界観を遊べるようにしてくれるから、というのが一番の理由だと信じ続けているので。
ガープスAの魔法陣なんかの汎用システムと呼ばれるジャンルでは少し意味合いが違ってくるわけですが。

キャラクタークラスやスキル説明など、ゲームとしてはフレーバー的な要素しかないように見える部分こそ、シナリオネタに取り入れることに意味があるのではないか……というお話でした。

GMテクニック?

GMをするのにどんなことに注意をすればいいか!という質問をもらって、そういえば、自分のマスタリングの傾向は書いたことはあるけど、もっと根本的なことは書いてなかった気がする…と思い至ったのでここでまとめてみようかと。
まとめるとか言いながら、凄く長くなりそうな予感。

まず、GMの仕事は大きく分けて以下の三つ。
1、セッションの準備
2、ルールのインスト
3、セッションの進行
それぞれに関して説明していきましょう。

1、セッションの準備
シナリオの作成、キャラクターシート等必要なシート類の準備、それから初心者やルールブック未所持の人の為にルールサマリーの準備も必要ですね。

キャラクターシートなんかに関しては言わずもがなだと思うので、シナリオに関して。
私がシナリオを作る際に注意することは大きく分けて二点。
・PLの自由度を奪ってしまってはいないか。
・指示不足で行き詰ることはないか。
気をつけているだけで、うまくいかない時は多いのですが…この二点が上手くいったシナリオは、後から見直しても出来がよかったと思えることが多いです。
自分の意思が反映されないゲームなんて面白くもないし、何をしていいかわからずに右往左往するのも時間の無駄…テンポが悪くなりますしね。
最初にシナリオを書いておく時点で気をつけなければならないのは、情報不足にならないことともう一つ、無駄な情報(過剰なミスディレクション)がないこと。
特にミスディレクションは、情報収集の過程でそれが間違いであることを解き明かしていくことが大切なのであって、情報収集していく段階で間違った情報が渡されては迷うだけです。これは著しくゲームのテンポを悪くします。

次に、サマリーに関してです。
キャラメイクに必要なスキル、クラスなどの表…は、まあ、できる限り人数分用意したいところですが、手間、コピー代、利便性などと相談しながら作りましょう。
問題は、実際にゲーム中に使うルールの分のサマリーです。
当たり前ですが、基本ルールや戦闘ルールなんかを端からコピーしていては作業も大変だし、目を通すのも時間がかかる。なにより初心者に全て覚えろと言うのも無茶な話です。
DXならタイタスを昇華した時の効果、メガテンなら命運の効果、アリアンロッドならフェイトの使い方などの重要な部分だけを箇条書きで数行でわかるようにしておくのが無難でしょう。

2、ルールのインスト
ルールのインストは、基本的に知らない人にしか意味がありません。
私自身がコンベではダブルクロスをよく立てるのですが、これは知名度が高いのでルールブックすら持参してきてくれる人が多くて助かります。
なので、ぶっちゃけると私はルールのインストについては下手です。なのでこれは参考にならないかも。

TRPGにおけるルールのインストは
・世界観に関する説明
・キャラメイクに関するルール
・実プレイに関するルール
に大別されると思います。

今回は前提が「初GM」なのでキャラメイクに関してはサンプルキャラを推奨したい…ですが、まあ、キャラメイクから自分達でやってこそ感情移入もできると言うものでしょう。
キャラメイクをインストしながらやる際に、一番重要なポイントは「出来るだけサマリーを細かく用意すること」だと、私は思います。
細かく、と言ってもこまごまとした文章を並べろと言う意味でなく、選択肢とその内容をリスト化したもの。
それと、それらのサマリーを全部見せるのではなく、選んで欲しい順番に見せていって傾向を説明しながら、全員で足並みをそろえて行くことも大切かと。
あんまり先走って待たせてもいけませんし、足が早い人に合わせると遅い人が戸惑いますしね。
サンプルキャラを使う場合でも、最低限、コピーをそのまま使わせずに書き写してもらうようにしましょう。
能力の確認をするとともに、作業を伴ったと言うことで少しだけ愛着がわきやすいです。
それと、個人的な感想ですが……サンプルキャラを使う際、ルールブック掲載のキャラクターイラストを見せてしまうとキャラクターの印象がイラストに引き摺られてしまうことがあります。
イラストが女だから女キャラじゃなきゃいけないのか?みたいな。
馬鹿みたいな話だと思うかもしれませんが、結構ありえるんです。なので、イラストは見せずに能力だけ書いたものを用意する事をオススメします。

実プレイに関するルールは、事前に説明してしまうよりもチュートリアル戦闘など、実践を踏まえて説明しましょう。
習うより慣れろ、と言うように、実際にやってみたほうが覚えます。
その時に、GM自身が迷わないようにメモを手元に置いておく、そしてネットで配布されているFAQやエラッタは面倒でも確認して置くようにしましょう。
ルールが必要な初心者は、自分に教えてくれるはずの立場のGMが迷っていると不安になりますから。

最後に、実はこれが一番大切かもしれない世界観に関する説明。
ここで注意をしなければならないのは、この世界でのPC達はどんな立場で、どんな事をして欲しいのか…というのを事前に説明してしまうことです。
英雄的に勇猛に振舞って欲しい、悪を見過ごしたり弱きに逃げ出したりするのはもっての他だ!とか、世界としては現代だから特殊能力は隠そうと頑張って欲しい、とか。
世界観から半歩ずれたキャラクターも格好いい時はあるのですが、それを許可してしまうと負担を受けるのはGM…よりも、そんなキャラクターと協力する事を強いられる他のPLです。
「突飛なプレイをしても話をまとめられるのは世界観に対する相応の理解と能力があるからだ」
と言うことを念頭において、ダメなものはダメだとはっきり伝えましょう。

3、セッションの進行
実際にセッションを運営する上で大事なのは………語りつくせないほど大量にあるんですが。
人に言われてなるほどーと思ったり、もっとも根本的な部分で注意しないといけないと思ったのは以下の三点。
・テンポよく進める。
・PLの発言には必ずレスポンスを返す。
・行動指針はぶっちゃける。

Mixiの方で同じ質問に答えられていた海鴎様が的確にわかりやすい例えを使っていたので引用させていただきます。
TVゲームでロード時間が長いと苛立つように、TRPGでも一番腹立たしいのは「詰まる」事。
ルールの説明でいちいちルールブックを確認しなおしている時間や、情報不足でどうやって進んでいいのかわからなくなっている時間……そういった時間は、ストレスにしかなりません。
何より、何度も何度もシナリオを停滞させてルールを確認するGMははっきり言って信用なりません。
卓を囲んだ全員が初心者であった場合、どんぐりの背比べであっても、GMは指導者と言う位置に立たざるを得ないものです。
こういった時間をそぎ落としていくことでテンポよく進めるのが、面白いセッションへの第一歩です。

で、もう一つ重要な部分を。
無茶な要求であっても、やってみたが上手くいかなかった…などと返していくことで、自分達の行動が物語に関わっているということを自覚できてよいです。
ダンジョンで壁に穴を開けて隣の部屋へ、などと言い出したら
「壁を切りつけると、かなり硬い材質で出来ている事がわかる。君達の武器では武器の方が損傷するか、穴を開けられたとしてもかなりの時間がかかり、大きな音も出るだろう。それで敵が集まってしまうこともありそうだ…それでも続けるかい?」
などと返してみるとか。
この辺りのアドリブは「慣れろ!」としか言えない訳ですが、初心者ほど、よく言えば固定概念にとらわれない、悪く言えば突飛な行動をとりたがるものですから。
やっぱり、せっかく思いついた事は無視されるより褒められた方が嬉しいですし、モチベーションもあがります。

最後に、行動指針のぶっちゃけについて。
基本的にTRPGにおいて、情報を出し惜しみしていいことはありません。
その情報を得るためにシーンを作って、失敗して終わる…そして別のシーンで再度判定…などとやっていると、どんどんダラダラしてきます。
それだけでなく、「何をしていいかわからない」と顔を突き合わせている時間も、著しくテンポを乱すことになります。
思いつかなさそうな雰囲気を少しでも感じたら、「今はこんなことが出来るよ」と選択肢を並べてあげるのがいいんじゃないでしょうか。
与えた選択肢の中から新しい行動を思いつくこともあるだろうし、一時は選択肢に従ってみることから次のシーンは自分で作り出せるようになるかもしれません。
ただし、これに関しては適度に、という程度にとどめておかないと、PLの自由意志を阻害することになります。
さじ加減に気をつけてください。


さて、本格的に長くなってまいりましたが、こんなところでしょうか。
これは私の経験則なので、万人に当てはまる方法ではないと言うことはご了承を。
もっとこうした方がいい!と言うようなアドヴァイスは常時受け付けております(笑)

幸せを感じてる

先日、サークルのメンバーの一人とコンベンションに行ってきた。
私はPL参加でトーキョーN◎VAの初体験。連れの友人はGMとして立卓。
その、友人の卓に、「彼」はいた。

友人は、最近のコンベGMでちょっと酷い経験を重ねていたので少し心配だった。
たまたま自分が座った席から見える卓だったのでちらりと覗いたが、楽しそうだったのと、自分も自分の参加してる卓に集中しないとGMに失礼だと思ったのでそれで放っておいた。
セッション時間が終わって、友人のもとを訪れてみるとある意味、予想と違っていた。
……悪くはなかった、なんてレベルじゃない。最高に楽しかったという、輝いた顔をしているのだ。
会場になった部屋を出ても、まるで名残惜しいというように、その卓のみんなが談笑に興じてる。
せっかくだから、とGMをやっていた友人のついでに夕飯をご一緒させてもらった。
そんな繋がりだから、この経験は私には間接的なものでしかない。

「彼」の事を聞けば聞くほど、驚きの連続だった。
初めてのゲームで堂々と主人公を勤め上げた…その「彼」が、そのシステムどころかTRPGすら初めてだと言うのだ。
実年齢の若さにも驚いた…が、それは置いておいて。

「彼」と話していると、どんどん話が溢れてきた。
お勧めのRPGのこと、楽しかった経験のこと、辛かった時のこと、これからRPGを遊んでいくなら気をつけて欲しいこと…セッションが終わってから、三時間は喋っていたように思う。
脅かすような話も、慣れてないと理解できないかもしれない話も、つい口にしてしまっていた気がする。
それでも「彼」はそれをしっかりと聞いて、頷き、疑問を返して、話し合って、そして何より、楽しそうだった。
その日のセッションの事を思い返して話す時など、本当に楽しんでいたように見えた。
セッションとはまた別の、関係のない時間だったけれど、この時間はとても楽しかった。

TRPGはコミュニケーションのゲームである。
他にもいろいろな要素はあれど、最低でもGMとPL、他人がいなければ成り立たない遊びだ。
私も、初心者対応についてとか偉そうに色々書きましたが、経験の有無とか、些細なテクニックをいかに駆使するかとか、そんな事とは比べ物にならない大切なことがある。

「話していて楽しい」

これが、何よりも大切。
もちろん、自分だけが楽しいなんてのはダメで、話している相手と「一緒に楽しむ」という意識がなければ、楽しい会話は成立しない。一方的に楽しむ、楽しませるなんて演説か寄席か。それはコミュニケーションではない。
「彼」は、「一緒に楽しもう」としてTRPGをしていた。
TRPGの話をしていた。
それが、たまらなく嬉しかった。
「いい話だ」なんて冗談みたいに言いながら、本気で泣きそうになってたのを堪えてたのは秘密だ。

この日は、そんな大切な事を思い出させてくれた。
私にとっても忘れられない一日となりそうだ。

次の機会があれば、是非とも「彼」と一緒に遊びたい。
心底そう思える。
もし、この日記が「彼」の目に届くことがあったなら、恥ずかしいけれど言わせて欲しい。

正直、私も結構酷い目にあってコンベンションGMを敬遠してたけど、君のようなプレイヤーに会えるのであれば、それがどんなに低い確率でも頑張ってみたいと思う。

なんか、感動をそのままに書いたら結構ぐちゃぐちゃな文章に…まあ、気にしない(ぉ)

GM紹介

非常に長いこと日記をサボってしまっていたのは、最近実プレイ分が足りなくて書くべきことが見当たらなくなってしまっていた所為で…
最近はサークルでもちゃんと集まれなくて悲しいです。

まあ、そんな中で先日、とあるコンベンションに行ってきました。
諸般の事情で詳しくは書きませんが……というか、正直に言えば書くべきかどうか悩んでいたのですが、あまりにもネタがなさ過ぎるので書きます。
正直に言えば、そのコンベンションは全体的にレベルが低いように思えました。
そう思えてしまったのは何故?というのが今日のお話です。

まず、会場アナウンスからGM紹介、そして卓分けまで…時間配分は今までに経験したことがないくらいスムーズでした。
ただ、よく出来ていたのは配分だけ。
司会は原稿棒読みすら出来ずに噛みまくり、言ってる事を聞き取れずに推測で補わなければいけない勢い。時間配分に比べ、こちらは経験した中で最低ランクと言えてしまいます。
GM紹介も同様で、どのGMもどこか自信なさげで噛みまくり、言いたいこともまとまってないような…いや、本人はまとめていたのだろうけどどんなPLを求めてるのかが何も伝わってこない。
なぜかどの人もシステムの紹介を優先して、その日のシナリオ傾向に関しては「冊子をご確認ください」としか言わなかったのが妙に印象に残ってます。
他のコンベで同じような紹介があったら、どんなに好みのシステムでもGMが地雷と判断してお近づきになりたくないなぁ…というのが正直な印象でした。

私がそのコンベにおいて、不満に思った点は以下の通り。

1、自信がなさ過ぎる
単純に緊張していた、というのもあるでしょう。
しかし、自信のなさそうな態度は準備不足、体調不良など、その日一日をともに過ごす相手として、見ているこちらの方が不安になります。
実際にプレイ中に諍いが起きた時に毅然とした対応が出来るのか、または我の強いPLに丸め込まれて公平なマスタリングが出来なくなったりしないか。GMの想定してなかった行動を取ろうとしたら対応できないからという理由で却下されて、GMの吟遊で話が終わる…なんていう事もあるかもしれません。
そういう部分でまず、信用が出来ません。
卓全体を主導する立場にあるGMが舵を取れずにどうして楽しめましょうか。

2、内容がつかめない
GM紹介でシステムの説明ばかりが目立ってその日の内容がわからない、というのは先に書いた通りなのですが。
まず、TRPGは同じシステムを使ってもまったく雰囲気の違うシナリオが出来ることは周知の事実でしょう。
ハイデルランド英雄譚なんかはいい例です。同じブレイド・オブ・アルカナを使っておきながら、菊池たけしのリプレイと稲葉義明のリプレイの雰囲気はまるで違います。
コンベでもそれは同様で、GMによってどのシステムを使っても同じシナリオにはなりません。
逆に言えば、システムはあてにならなくとも、その日にどんなシナリオをプレイするか……それさえわかれば、少なくともその日はそういうプレイをするのだから、それほど確かな指標はありません。
シナリオさえ好みのものであれば、知らないシステムでも(初心者お断りなどと言われない限り)楽しめるものです。
そして、その日のシナリオの雰囲気を伝えるのは決して言葉だけでは在りません。
熱の入った演技調で読み上げれば、演出重視のノリの良いマスターであることがわかります。
丁寧な口調で親切な対応をしていれば、知らないシステムでも丁寧な対応をしてくれるだろうと思えます。
そういう部分がまるで伝わってきませんでした。

3、システムを貶める
「これは〜のパクリといわれているゲームです。なら〜をやれと思うかもしれませんが今日はこっちをやります」
みたいな、耳を疑うようなGM紹介をしている人がいました。
本人は冗談のつもりかもしれませんが、聞いているだけでは冗談か本気かなんてわかりません。
このセリフを聞いたら、少なくともそのゲームが好きでやっているようには見えません。
好きじゃないものを面白くすることなんかできるのか、といえば、絶対に無理です。
人間は楽しい話をしていれば笑顔に、嫌いな物の話をしてればしかめっ面になるのが当たり前です。
表面には出さないようにしていても、丸一日も付き合っていれば少なからずボロが出るでしょう。
舵取りをするべきGMが好きでもないゲームをやっていて、面白い方向に船を進めて行けるのでしょうか?
職業GMとか上手い人であればそれも仕方なくやるのかも知れませんが、面白くなさそうな顔をしているGMの下で顔を突き合わせてる様子を想像すれば、少なくともやる気になれません。

で、実際に卓についてみると……想像通りというか、想像以上に酷かった。
冊子には初心者対応に○がついているのにGMがそのシステムに不慣れな事をプレイ前に公言する、そのシステムのメインとも言えるリソースの管理を「面倒くさいから」の一言で切り捨てる、一般参加のPLの前で「スタッフのテストプレイではこうだった」などの身内話を延々続けるなど…
ゲーム自体のマスタリング自体は(上手いとは思わないが)それほど酷くもなかったけど、一日同じ卓にいて決していい気分ではいられませんでした。

かなり酷評だけど、これを修正するだけでも「参加したいと思わせるGM紹介」は十分に出来るのではないかと思います。

ふと思った

まだ当落とかわからないんですが、次回の冬のコミケに参加申し込みしました。
と言うわけで、サークルでリプレイを作る予定です。
11月に当落がわかってもそっから作り始めたら間に合いませんし、作るだけ作ります。

今のところシステムはダブルクロスの予定…ということで、自分の中のイメージを固めるためにオリジンを一から読み直してみました。
そして、ふと思ったことがあります。
それを未来の絆の感想とあわせて書いてみようかなーとか。

参加PCはいつものチルドレン二人と、「偽りの仮面」から群墨応理、「残酷な人形」から蓮見イサム、「破滅の剣」から辰巳狛江という豪華メンバー。
このメンバーを発表した際、執筆者である矢野王子は編集さんに言われたそうです。
「そんなぼんくらーずで大丈夫?」と。

最初は私も「確かに、酷い方ばっか集めなくてもなー」とか頷いていたわけですが……
一からリプレイを読み直してると、アレ?って感じ。
よーく見てみると…いや、第一印象はその通りなんだけど…実は、各リプレイでまともな方を持ってきてませんか?

1、「偽りの仮面」の場合
 対抗馬は大宙ヒカル。その名も衛星軌道支部長。王子も言っているように、ナノマシンが散布されている場所(自分の支部の管轄下)にしか登場できません。
 ……それもあるけど、ぶっちゃけ衛星軌道と永遠の少年だったら、古代種がルールでサポートされている以上、衛星軌道の方がトンデモキャラだと思います。

2、「残酷な人形」の場合
 対抗馬はシザーリオこと星乃聖音。一見良識派に見えますが…UGNには無関係、と言うシナリオに関わらせにくい重要なポイントがあります。
 UGNには無関係である上に、戦闘用人格の所為で表向きはレネゲイド関係の話が通じません。
 真正面から話が通じないというのは、かなり困った状況です。
 あとがきにも、聖音のプレイングはすれすれで、PLが上手かったからかろうじて許せる範囲内だったことが書かれています。
 ……残酷な人形の後半でシザーリオしか出してもらえなかったのって実はその所為?

3、破滅の剣
 対抗馬は春日玲央。ハンドリングでシーンに登場、メインの二人には一度も顔見せなし。
 ………あえて問いますが、それはまともなキャラですか?
 ジャーム化したから必然的に出て来れないと言うのを差し引いても酷いキャラだと思います。
 特に、各巻から一人ずつのゲストというスタンスでは確実にFH側は孤立しますが…狛江というクッションを挟まずに、彼がUGNと協力できますか?出来ないと思いません?

………というわけで、王子の人選はまったくもって間違っていなかったという結論に至りました。
私の中で。

……個人的には、井上純弌菊池たけし、藤井忍あたりから二人引っ張ってきた新キャラ二人というプレイも見てみたかったなぁ。

ダブルクロスのゲームバランス

最近、JGC合わせのリプレイなどを含めて色々とリプレイを読みふけっています。
「七色の風をあつめて」と「ダブルクロス・リプレイ・オリジン未来の絆」の二本は、最近読んだリプレイの中では特に秀逸でした。

それぞれの感想はおいおい書いていくとして、今回は「未来の絆」を読んで「GMが想定するDXのゲームバランス」について、思ったことがあるので書き留めてみたいと思います。

命守 星光版 徒然草“ダブルクロスのパワーバランス”
今日のセッションでPLに聞かれたこと「(侵蝕率)何処まで上がります?」
それに対する答え「130前後で(自律判定)5D」

この問答に私が答えるのであれば、「140強でロイス4個の二倍振り」と答えます。
というのも、(あくまでGM側の想定という前提において)参加者全員が経験点を満点で終了する事をGMが意図的に推奨するという状況に疑問を持つ、というのが理由の一つ。
参加者が満点を目指して行動をするのはごく自然な行動ですが、満点はあくまでうまく立ち回ったご褒美であり、先だって推奨するものではないと考えます。
TRPGは経験点だけで全ての評価が決まるものではないとはいえ、必ず満点が取れるゲームは茶番に見えます。

それも理由の一つであることは確かなんですが、むしろ追求したいのはもう一つの理由。
それは「侵食率の上昇を恐がりすぎるとゲーム中に出来ることが減る」という事。
「ゲーム終盤に上昇してくる侵食率の所為で、一番自由に動きたいミドル終盤に気兼ねなく登場することが出来ない」というのが、ダブルクロスの一番の欠点である…と、言われます。
確かに、ミドルの最後に「これ以上シーンに出たらクライマックスでリザレクトできなくなる」とか、そういった理由で出し惜しみをされるシーンはよく見かけます。
でも、ちょっと待ってください。
そんな出し惜しみをして、本当に満足のいくプレイが出来ますか?

私は少なからず、TRPGの楽しみは「物語を皆で作り上げていく事」だと教わり、私自身もそう思っています。
「本当は怒りに任せて全力で殴りつけるシーンなんだけど、侵食率が恐いからこのエフェクトははずしておく」
「本当は日常を省みて葛藤を昇華するシーンを挟みたいんだけど、侵食率が恐いからそのシーンはなしで」
……それで、満足の行くように物語を表現出来ていますか?
私は絶対に出来てないと思います。

で、冒頭の「未来の絆」の話に戻ります。
このリプレイの最終話では(以下ネタバレにつき反転)
ボス戦が二回用意され、PCは分断。一戦目にかかったラウンド数だけ二戦目に合流するのが遅れる、というギミックでした。
しかし、その場に残って戦ったPC達は一戦で既にボロボロ。侵食率も三倍振りが確定してしまってエフェクトは愚か登場侵食すら危うい状態。
そして、たった二人で挑む二戦目も当然、限界ギリギリの厳しい状態。
次のラウンドからやっと登場できるという場面に至って、全員がダイスを握り締め、言います。
「駆けつけたところで何も出来なかったとしても、行かないわけにはいかない」

私は、これこそがダブルクロスというゲームの醍醐味だと思います。
ダブルクロスは「ジャーム化という恐怖と、人との絆を護ることを天秤にかけて葛藤する」事こそ、最大のテーマでしょう。
侵食率を恐れてやるべきことを放棄していて、ダブルクロスという物語を美しく語れるでしょうか?

自律判定で2倍振りを行って帰ってきていないという状態は「素直にジャーム化して悲劇的なエンディングにしろ」とルールが主張しているからだ。経験点を全て放棄するということの意味は、ゲームのテーマを無視したことに対して「ちょっと考え直せよ」というメッセージである。

命守さんのこの意見には、私は反対です。
私にとって、ダブルクロスに限らず、TRPGの目的は「やるべきことをやりきる」事であり、その結果として代償を払ってでも帰還するほうが美しいのか、ジャームに身をやつしてでも使命を全うしたとする方が美しいのか。
最後まで葛藤しながら物語を作り上げていくことに意味があるのだと思います。
最後に残された葛藤が「PLの利益かPCの利益か」という選択なのが、少し目標をぶれさせてしまっているように思えますが。

個人的には、このシステムであれば「自立判定後の侵食率」ではなく、「自立判定前に最大いくつまで侵食率が上がったか」によって経験値が算出されるべきだと感じます。
でないと、出し惜しみをしてこそこそ逃げ回った人が一番評価を受けるという結果になってしまうので。

魔都東京200X

真・女神転生TRPGとのことです。
非常に間が空きましたが先週初体験してきました。
個人的には凄く好きなタイプのゲームでした。

システムの肝としては命運と呼ばれるヒーローポイントになるのでしょう。
ダイスの振りなおし、目標値の引き下げ、ダメージの軽減etc.かゆいところに手が届く勢いでいろいろな事が出来るのが素敵です。
やはり、ダイスを振るゲームなんだから失敗するのも運だと言って切り捨ててしまうゲームは自分は好きにはなれません。
どこでリソースを使うのかを考えながら戦略を立てていって、それでも失敗したならしょうがない…という方が面白いと思います。
そういう意味で、このゲームのリソースのバランスは(その時のマスターの腕が良かったというのもあり)秀逸に思えました。

戦闘バランスも、ルールブックに「PCのレベルが〜くらいまではこれくらいの敵を出すのが無難」というのが細かく、だけど押し付けにならない程度に書いてあって親切です。
ただ、バランスを考えてデータを探したい時に、悪魔のデータがレベル順でなく種族順なのがとても読みづらい……
他にも、スキルの表記がクラスごとではなく属性ごとであったりして、PC作成のために、ゲームブックみたいに〜ページに飛んで〜ページに飛んでとやらないといけない。
ゲームバランスは秀逸なんだけどルールブックの見辛さは色々と酷いかな、という印象です。

もう一つ、非常に好みのポイントが「ゲーム中でもガンガンレベルアップしていく」という点。
リプレイを読んでも、レベル8から始まって1話終了でレベル11とか、1セッションで1レベル上がるか上がらないかといったゲームとは比べ物にならない爽快感です。
レベルアップの頻度に耐えられるくらいにデータ面でも充実していて、組み合わせや買い物など考えていてわくわくしてきます。
大量のデータから色々と選択して、どうやったら強くなるかと考えるのが好きなデータッキーの私にはとても嬉しいものがあるシステムです。

世界観も親しみやすいし、良作のゲームだと思いました。
GMもやってみたいと思うけど、原作を全然知らない(というか原作をプレイしたのが小学校時代なので覚えてない)のでNPCのイメージがガタ崩れになること請け合いです。
………そういう原作への遠慮や躊躇があるから、コンベなんかであまり見かけなかったりするんでしょうか?

とまれ、立卓してくださったGM様、及び参加者様、ありがとうございました。